ロッテ釜本サッカー教室新企画 ”少年サッカー指導者向けセミナー” 2015年7月25日(土)に開催した少年サッカー指導者向けセミナーの様子をお伝えします。

本年度より「ロッテ釜本サッカー教室」の新たな試みとして、少年サッカー指導者向けのセミナーを7月25日(土)に新潟県のグランセナ新潟サッカースタジアム内ラウンジで開催しました。

釜本邦茂氏の他、指導者としての評価も高い、元日本代表の遠藤彰弘氏をゲストに迎え、これからの少年サッカー向け指導の考え方やコーチ理論をお話いただきました。

また、東京歯科大学 口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室の武田友孝先生をお招きし、噛むことで、集中力、判断力UPや全身筋力バランス向上の効果、サッカーの上達が期待できる効果についてお話いただきました。

また、指導者向けセミナーの他、恒例の少年向けサッカー教室も開催しました。

img01

01:釜本 邦茂氏のお話

少年サッカーの指導について

よくテレビなどでは日本代表の練習風景が報道されています。時代によって様々なトレーニング方法があり、その時の「流行」のようなものもあります。見た目が派手なプレーや技術にどうしても興味が向いてしまいがちですが「ボールをしっかり止めて、正確に蹴る」という基本的な技術の基礎作りをおろそかにしていると将来必ず成長の壁に突き当たることになります。

img02

02:遠藤 彰弘氏のお話

①遠藤塾の指導法

遠藤塾は、私の弟である遠藤保仁(サッカー元日本代表選手)と運営している、プロの世界で培った貴重な経験を次世代を担う子供たちに伝え、未来の日本代表育成を目的としたサッカースクールです。”止める・蹴る・考えて走る”という3つの基礎を軸に、指導経験豊富なコーチたちが徹底指導をしています。少年時代の練習は「基礎」が大事。基礎がしっかりしていないとその先の技術や戦術に対応できなくなるので、この3つの基礎を丁寧に繰り返し指導しています。

img03

②考えるサッカーの重要性

どのような戦術でも基礎の‟止める・蹴る・考えて走る”がしっかりできていないと機能しません。その基礎の上にドリブルやパス、シュートなどの技術、攻撃、守備、フォーメーションや戦術があります。攻撃でも守備でも「考えて走る」ことが大事です。次のプレーや展開を予測して、ボールをしっかり止めて、正確に蹴って、考えて走る。この繰り返しがあってはじめて戦術が機能します。

img04

03:東京歯科大学 武田 友孝先生のお話

①噛む筋力が運動パフォーマンス向上に与える有効性

噛むことによっていくつかの効果が確認できます。1つはかみ締めによる脳の活性化。この際、噛む力が強いほど脳の広い部分が活性化される傾向にあります。また正しいかみ合わせによる立位バランスの向上や、身体の筋活動量の増加などが期待できます。

img05

②咀嚼のスポーツへの影響

咀嚼のスポーツへの影響としては、全身の筋へのアイドリング効果、リラックス効果と集中力向上効果などがあげられます。筋の反射時間や動体視力などにも向上が認められるという報告も見られます。

img10

③咀嚼と脳活性化のしくみ

咀嚼は、他のリズム運動である歩行や呼吸などと同様に、心身がスムーズに活動できる状態を作り出すセロトニン神経系などを活性化するといわれています。スポーツでは試合前などで、過緊張や交感神経優位状態に陥りやすく、そうなった場合、姿勢の維持に必要な抗重力筋の疲労へとつながり、動きを緩慢にし、パフォーマンスに影響する可能性があります。ガムなどを咀嚼することによって、こういった状態を軽減する効果が期待できます。

img06

④少年期からの咀嚼がもたらす将来的な効果

咀嚼には、食べ物を飲み込む前に食物を粉砕し、唾液の消化酵素などと良く混ぜ合わせること、そして、胃の働きを活発にすることなどで栄養を取りやすくする効果、唾液の分泌による虫歯や歯の欠損などを防ぐ効果など、健全な身体の発達に重要な基本的効果があるといわれています。また、特にスポーツにおいては、健全な咀嚼機能は頑強な体を維持するための十分な栄養摂取に欠かせません。また、日ごろから、健全な口腔内環境を保っていないと、遠征による疲れや試合に対するストレスなどで、虫歯や歯肉の痛みなどが急におこり、充分なパフォーマンスを発揮できないこともあるかもしれません。普段からよく噛むことによって、脳の活性化や、身体的な反射能力、バランスなどの向上も期待できますので「よく噛んで食べる」という食習慣を身につけるようにしてください。

img08

04:セミナー参加者の感想

【指導者(男性)】
釜本さんからの違った視点での指導方法が参考になった。また武田先生のお話で噛むことが大事と知った。スポーツ指導者と違う観点からの話が参考になった。

【保護者(女性)】
固いものを噛むことの大事さを知った。今日から子供にも固いものを食べさせ、噛む回数を増やしたいと思う。

【保護者(男性)】
釜本さんに会いたくて参加した。昔から野球やサッカーでガムを噛むと良いとは聞いていたが、改めて良く分かった。これからは、子供とともにたくさん肉を食べたいと思う。

【指導者(男性)】
噛むことでパフォーマンスが上がるということを武田先生がデータで説明してくれたので、説得力があり参考になった。釜本さん・遠藤さんのお話は、もっと代表選手でのエピソードがあれば嬉しかった。