1989 年(平成元年)より、厚生省(現・厚生労働省)と日本歯科医師会が提唱し、自治体、各種団体、企業、そして広く国民に呼びかけきた 「8020運動」。これは、“ハチ・マル・二イ・マル”と読み、80歳になっても20本以上自分の歯を保とう”という運動のことを言います。

よく噛むことの8つの効用

この「8020運動」を、国民運動としてさらに発展させていくために、平成12年12月に設立された「8020推進財団」は、“噛む8大効果”を広く社会に訴求するために、「ひみこの歯がいーぜ」という標語をつくり、噛むことの大切さを呼びかけています。

噛むことの効用を標語にしました。「ひみこの歯がいーぜ」

よく噛むことは、単に食べものを体に取り入れるためだけではなく、全身を活性化させるのにたいへん重要な働きをしているのです。この噛む効用について、学校食事研究会がわかりやすい標語を作りました。「ひみこの歯がいーぜ」です。
弥生時代の人は現代人に比べて、噛む回数が何倍も多かったと考えられていますから、卑弥呼(邪馬台国の女王)だって、きっとしっかりよく噛んで食べていたのではないでしょうか。

img_colum

【出典】(財)8020推進財団WEBサイト「噛む8大効用」より
http://www.8020zaidan.or.jp/info/effect8.html

人間に備わった高度な咀嚼機能

「噛む」ことの大切さは、人類の経験からも、科学的側面からも実証されています。人類は、歯が進化して食物を細かく砕き、栄養素の吸収率を高めると同時に予備消化ができるようになり、さらに味を楽しんだり、発話をするような高度な役割にまで発達してきたと考えることができるのです。人間における咀嚼の重要性を語るとき、その範囲は、子どもの成長、介護、スポーツ、宇宙食にまで及んできます。

コラム:噛む効用

噛むことで、食べものの味や食感等、様々な感覚情報が脳に伝えられ、脳が活性化します。よく噛むことで、脳の思考や学習等をつかさどる部位も活性化し、高齢者の記憶や認知機能が維持・向上するという研究結果もあります。
また、食べものを噛むことにより、神経系ホルモンが働き、ホルモンが脳の視床下部にある満腹中枢に届くと、満腹信号となって満足感が得られます。よく噛むことによって、より少ない量で満腹感を得られることがわかっており、食べすぎによる肥満予防、ひいては生活習慣病の予防にもつながります。
「ごはんを食べると太る」という誤解がありますが、ごはんは粒状でよく噛む必要があることから、噛む力を高めると同時に、消化時間が長く腹もちが良いため、間食の予防、肥満の予防にも効果があります。

【出典】農林水産省『平成21年度 食料・農業・農村白書』より
http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h21_h/trend/part1/chap2/c2_04.html

噛むことの大事さの認知

宇宙食は、初め流動食で、ただ栄養が取れれば良いというものでした。しかし、このような食事では直に元気がなくなり、身体の調子を壊してしまいました。これは、しっかり噛まないことによって起こったと考えられ、その後、固形の食事へと変えられています。

石上惠一 先生
東京歯科大学 特任教授

img02